仮想通貨の儲けにも税金がかかる
仮想通貨にかかる税金
仮想通貨の売買を行う初心者にとって、税金の問題はわかりにくい面があります。まず、仮想通貨にも税金がかかることを押さえておきます。
所得税
仮想通貨の取引で得た所得は、分類上では雑所得です。そのため、所得税の対象となります。雑所得はFXなど一部を除き総合課税の対象となるため、他の総合課税の所得と合算して、所得控除を上回る場合に税金を納める必要が生じます。サラリーマンで会社が源泉徴収をしている場合、通常は確定申告の必要がありません。しかし、合計で20万円を超える場合は、確定申告をすることになります。
この仕組みは、一昔前にインターネットオークションやアフィリエイトで儲けるサラリーマンが急増したときに話題になったものです。注意すべきは、仮想通貨などの雑所得が20万円以下であったとしても、それを含めた給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要となる点です。
相続税
仮想通貨に価値がある限りにおいて、その金額が課税対象額であれば相続税の納付が必要になると考えられます。ただし、価値の確定と税額の算出が問題です。仮想通貨の相場は日々変動しているだけでなく、取引所によって価格が異なるためです。
また、ウォレットの秘密鍵を知らなければ価値を入手することもできません。このような点から、相続税について確定的なことはいえませんが、課税を前提に対策をとっておけば慌てる必要はないでしょう。
贈与税
価値あるものの贈与であることから、相続税同様に課税の可能性が高いと考えられます。また、相続のような価値の算出や秘密鍵の問題が生じない点でも課税は容易です。
仮想通貨取引に消費税はかからない
仮想通貨の取引時に消費税が発生するのかしないのかについては、平成29年度の法改正によって非課税となりました。消費税法施行令第9条第4項の規定で、資金決済法第2条第5項に規定されている仮想通貨については消費税を非課税とすることになっています。つまり、自称仮想通貨ではなく、日本国が認めた仮想通貨であれば消費税はかかりません。
仮想通貨の儲けは節税できるか?
売却時期を調整する
仮想通貨の売却益による雑所得は総合課税の対象となることから、実際に課税されるパーセンテージは5%から45%まで幅があり、課税対象所得全体がいくらになるかで変わります。そのため、仮想通貨の売却益があるかないか、いくらあるかによって、税率が変わることもあり得ます。
そこで考えられる節税策が、仮想通貨の売却時期の調整です。所得は暦年で計上しますので、このまま売却すれば税率が上がりそうだとか、控除を上回って所得税が発生しそうだとかいう場合には、翌年まで売却を延期する手があります。
この作戦は年間所得がほぼ固まった段階でしか使えませんが、累進課税に対する節税策としては一定の効果があるでしょう。ただし、売り時がある投機的な仮想通貨や相場感になっている場合は注意が必要です。売るタイミングを外してしまうと、税金どころではないレベルで儲けをパーにしてしまうリスクがあります。
法人化は念頭に置く程度で
さて、節税といえば法人成りという手段を考える人もいるようですが、仮想通貨の初心者に法人成りが必要かといえば、ケースバイケースといえます。法人成りとは、その名のとおり、個人で行う取引を、会社組織にして行うことです。簡単にいえば、従業員がいない株式会社などの法人を設立するメジャーな節税策です。
株式会社などの法人を作ってしまえば、自身はオーナー社長と呼ばれる身分になります。従業員がいなくても社長は社長です。また、法人化することで、個人の納税から会社としての納税となります。法人税優遇などという言葉をニュースで聞くことがありますが、一般に税金が安くなる面があるため、税金対策として法人化する人も多数います。
しかし、法人の設立には費用がかかります。株式会社の最低資本金制度が撤廃されたことで1円会社と呼ばれる資本金1円の企業も設立可能です。ただし、資本金だけが設立費用ではありません。少なくとも、設立登記には15万円もの登録免許税がかかりますし、諸々あわせれば数十万円かかることも珍しくないでしょう。
そこまでの費用と手間をかけてでも法人を設立した方がよいといえるのは、それを上回る節税効果がある場合です。仮想通貨の初心者が税金対策に会社を設立するほどの儲けを出せるのであれば、有効な手段の一つといえます。法的な区分では、法人成りよりも個人事業として開業届を提出し、青色申告の届けもしておけば65万円の控除を受けられるとの考え方もあります。
ただ、仮想通貨の所得が事業所得として認められるかどうかについては定かではありません。いずれにしても、初心者なら税金対策よりも取引で儲けを出すことを考える方が先でしょう。